或いは塩の柱に
ひッと掠れた悲鳴が響いた。
抱えあげた足に手を滑らせると土方の目が困惑に揺れた。
へし折る手前の力加減にすると、怯えに変わった。
ゾクゾクと、背筋をどうしようもなく這い上がってくる歪んだ快感。
愉しくて。
何よりおかしくてたまらない。
あの、女どもが目の色を変える真選組の副長様が、
天下の色男がよりによって同じ男の、俺なんかの下で大人しく足を。
文字通り開いて、いるという事実に。
はは、傑作だ。
「四つん這いになって」
犬みてェにになれという命令に土方は屈辱的な表情を浮かべながらも結局応じる。
荒淫で赤くなったあわいの縁をそっと指でなぞってやれば、ぴくんと土方の背中が色っぽく撓んだ。
「あ……ひくひくしてる…欲しい?」
くぷりと、塗り込めたローションが溢れて、確かに感じていることを俺に訴えてきた。
がくがくともう手が身体を支えきれないのか、ケツだけ上げた卑猥な格好になっていく。
「ふぅっ……」
息を吹きかけてやると、
「ひゃ、ぁ!」
高い声を上げて土方が頬を完全にシーツに埋めた。
「あーまだオクチがひくひくしてるよ、じゃ、食べてもらおうっかな」
くぷくぷと指を突っ込めば土方が
「ふぁ、あ、アッ……ゃ…」
断続的にこっちの腰にクル声で泣いて。
中で出した精液ごと吸い付いちまいそうに熟れた後腔が目の前でいやらしく動く。
「ヤベ、すっげぇあったけーんですけど、お前の中。
しかもキュウキュウだし。あんだけやってんのに全然ゆるまねェんだな」
いつもは可愛らしい桃色の、今はやや赤くぽってりとした後孔が俺の指を何度も食む。
耳たぶを舐めたついでに毒を吹き込んでやる。
「淫乱」
囁いてやれば凍りついたように土方は俺を見上げた。
尖った乳首を悪戯のように摘んで引っ張るとまた、嫌がって顔を赤らめた。
散々舐めしゃぶったせいで腫れたそこは、僅かな接触でも痛むんだろう。
「なぁ、女みてェじゃね、これ」
つい、と乳首を爪で摘むと一層土方の恥じらいが濃くなる。
つんと押してみると十分に弾力があって、女の快楽の証に似た形状に思えてなんだか可愛かった。
こいつの身体は、持ち主と違っていちいち可愛い。
噛み付くように口付けると土方の舌を追う。
逃げて縮こまるそれを無理やり引きずり出して擦り合わせるとまた、ぶるりと快感にか、
あるいは食いちぎられる原初的な恐怖にか震えてすすり泣く。
「ほら、舐めろよ」
「ん、んちゅ、んむ……くぅ」
いつまでたっても拙いままのフェラに俺はやや呆れるが、
こいつのツラがあれば及第点だ。
顎が疲れてきたのか、唇から透明な液体が零れ落ちていく。
「出すから飲んでよ、土方」
「んぅ……」
嫌がるように首を振った顔が、そうまでしても整ってるのがなんだか笑えた。
良い子だ、というように髪を撫でてやる。
「まだ無理?お前全然上達しねェな」
「ん……」
ガキみてェによしよしすると土方の頬が赤く染まった。
やっぱ可愛いわ。
風俗の姉ちゃんみたいに上手くなられても引くし。
だから下手なのも別に責めちゃいない。
ごっくんさせちまいてェ気もするけど、
後でちゅーしたくなったときに嫌だし、本気で飲ませようとしたことはない。
……なんでか、こいつって最中にちゅーしたくなんだよね。
唇までエロいからか?
俺普段はあんまり女ともそういうまどろっこしいことすんの嫌いで、面倒なはずなんだけど。
「じゃ、後ろ可愛がってやるからさ、ケツこっちに向けてよ」
「ぅ………」
恥じらうように土方の動きが止まった。
が、結局恐る恐るといった感じで土方の身体は俺の身体の上に逆向きに覆いかぶさった。
シックスナインが最近の気に入りなんだけど、はは、所謂絶景ってヤツだね。
「ほら、咥えて」
俺のに、土方がゆっくり舌を絡ませてくるのを感じながら、ちょっと笑う。
ぺろぺろガキみてェに舐めてくんのが可愛いっちゃあ、可愛いかもな。
とりあえず、俺にとっちゃ竿よりも重要な部位に舌を入れると途端に土方の綺麗な背中が跳ねた。
「ふぁ!」
拍子に口から。
「あ、ほらオクチがお留守になってるよ」
「あ、あッ、それヤメ……ひッ…ッぅあ……」
「ほら、頑張れって。でねェとオモチャ入れちまうぜ」
「や、やだ……やめッ!」
前に入れたまましゃぶらされたことを思い出したのか、
壊れたように土方はいやだ、と繰り返して泣きながら俺を愉しませた。
土方から失敬した煙草を何となく吸ってみる。
こいついつもこれ咥えてるよな。
ふうっと熱の篭もった息と一緒に吐き出せば綺麗な軌跡が描かれた。
視線を落とすと、
横で死んだように寝てる土方の肌は艶々してる。
何となく撫でて、すべすべの質感にやっぱり興奮し直す。
あー、余裕があればもう一回くらいヤリてェんだけど、
流石に気絶寸前までイッタ相手の寝込みを襲うほどは外道じゃない。
興が乗ればここで指とか咥えさせちまって、無理やり起こして、
やだやだ言うのを無理やりもう一回くらいいただきます、
すんだけど今日はまぁいいか。
もっかい何となく頭を撫でると土方が軽く反応した。
でも目は覚まさない。
さて、やることやれば後は帰るだけだ。
女と違って、土方はベタベタしてもこねェし、何も言わない。
多少の無理も受け止める。
すげェ楽で、しかも気持ちが良い。
俺はこの関係に満足していた。