夢を見た。



白い肢体が夜目でも痛くて綺麗な、良い匂いをさせているのがわかって口が渇く。
心臓が激しくがなりたてている。どくどくと煩く。
愛しい。愛しい愛しい愛しい。
その思いの激しさの分だけ、どくどくと、
血流の命じたままにはげしく波打つ心臓が、俺を、ただの畜生か、醜い獣にする。
どくん、どくん、と鳴る心臓が自分の器官であって、自分のものでない錯覚。
死体かこどもみたいにぐったりした土方の、弱弱しい鼓動など食いつくさんばかりの激しさでもって、
獣そのもののやりかたで、白い肌に噛み付き血を舐め、滑らかな腰を砕くように強く掴んで、
狂ったように、何度も、何度も、いきり立つ性器を挿しいれる。
ぐぷぐぷと出された精液の泡立つ音が溢れる。
溢れた端から、たらたら溢れて生臭い海が広がっているのに心地良い。
甘いミルクみたいに思える。
何度も何度も土方が泣き叫ぶ声を聴きながら、きいているのに、聴こえているのに!!
何度も何度も噛んで、嬲って、口の端に触れた髪まで引き抜いて飲み込むような無慈悲なことを強いて。
それでも土方が愛しくて死んでしまいたいと思う自分をどうしたら。
どうしたらいいのかわからねェ。
固く閉じられた瞼から涙を溢れさせる土方の目をこじあけてみせてやりたい。
この執着を。
この心臓を抉り出して見せてやれば少しは俺の想いがわかるか。
泣き叫ぶ前に俺の名を呼べよ。
ああ、獣に名があったか。
無いから呼べねェの?
あっても、多分独りよがりで無意味。
だって俺を見ねェ目だ。
甲高い声をあげる土方の、その性器を食べてしまいたい。

食べたい。

土方をぜんぶ食べたい。
頭が割れそうで心臓は張り裂けそう。
もう俺は本当の獣に成り果てた。
いまから俺はただの獣だ。
獣のように唸りながら生きる。
ああ頭が割れそうだ。
ひじかた。ひじかた。
こんなときでもおれはおまえを親しく下の名前で呼べないんだぜ。
ひじかた、怖いのか、泣くなよ、これ以上泣くと喰っちまうぞ。
何度も名前を呼びながら愛しい想いで土方の身体を舐め、噛んだ。
ぎりぎりと噛み締めた肉の味が口内に広がって感覚を狂喜させ興奮が加速する。
喘ぐ。
土方がオンナみたいに喘ぐ。あえぐ、あえぐ、あえいでいる。
俺の前で泣くなんて死んでも嫌だっただろうに泣き叫んで。
こんな土方は知らなかった。だれも知らねェんだろう。
いつもお前は綺麗で冷たくて頑なで残酷。
だれもお前に触れなかった。
堪らねェ。
もううまく頭がはたらかねェ。
おまえしかみえねェんだ。本当だぜ。
息を吸い土方の匂いと血と精液の匂いで肺を満たす。
土方の胸に吸い付きながら何度も獣のように匂いをかいだ。
興奮で目の前が紅く白く明滅する。
ちかちかする。
ちかちかしたまま、心臓はあいかわらず鳴り響く。酷くなっている。
ひじかた。
はは、俺も同じかごめんな。
なぁ、かわいいとうしろう。
トシ。
なぁ俺がそう呼ぶとおまえはいつも嫌がった。
それが罪だとでもいうみたいに。
俺が愛することがそもそも罪みたいだ、なんていうとおまえは泣くか。
おまえ優しいもんな。
愛してる。
なぁ、泣いてないで俺の名前呼んでくれねェか。
あいしてる。
白く綺麗な指先をしゃぶりながら性器をキツク掴む。
びくんとサカナのようにはねた身体を見つめてまた指先を甘く噛む。
咄嗟にかくそうとした手を押さえつけ、震える性器の先端を舐めしゃぶる。
「あはっ、噛み付かれると、おもった…?」
興奮でうまくつむげない言葉の間で語りかける。

まだ人間の言葉が出る。
とっくに獣になったと思ってたのに。
性器の匂いと味を見るように鼻を近づけ、舐めようと舌を出すと必死で隠そうと身をよじる
……十四郎、かわいい。
掠れた声でやめて欲しいと懇願してる。
壊れる、って可愛いなお前。
こわれる、こわれる。
大丈夫。
そうなっても一緒だ。
やめ、やめて、っていつのまにかことばが子ども。
業とじゃない分女よりクル。
怖いんだな。そういや昔俺が殺した奴等よくそうやって命乞いしたよ。
最後はみんな親に甘えた頃にかえるんかな。俺家族いねぇからわかんねーや。
こんなにドロドロなのに恥じらいが残ってるのがたまらなくかわいい。
俺の液に濡れた身体も泣く声も。
腹の中、俺ので一杯なんだろ。
なだらかな下腹部を力を込めて押すと、俺のが出入りしてるのがわかって堪らねェ。
とうしろうが悲鳴をあげた。
痛い、やめて、ってかわいい。
孕むかもな。お前可愛いし。
こどもはこの髪じゃないといいな。
お前に似たらきっと可愛い。そしたら三人で暮らそうな。
もう。
もう何も隠すなよ。
オマエの身体で知らねェところなんかねェんだ。
腹の中までバレてんのに、なにをそんなに泣くんだよ。
なにものこさねェヒミツなんて。
全部残らず愛しい。
ぞくぞくする。
心臓煩い。
うるさい。
ああ。
ああああああああああもう。
食べよう。
おまえが愛しくてどうしようもねェ。
ああ、あ、あ。
あああああああああああああああああああああ。
あは、あははは、あはっ!!!



起き上がって、それが夢でないことを知っていた銀時は汗で濡れた身体を震わせた。
ガタガタと震える身体が冷たくて、両腕をいくら擦っても震えはとまらない。
惨状だけ、覚えている。
残された土方が死んでしまわないか、赦されるなら夢の中まで探しに行きたい。
赦されるなら、夢の中の自分を殺してしまいたい。



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